実体験を元に纏めていますので、話の流れを読んでいただくことで記憶の定着になればと思います。
実体験を元に纏めると
これまでのブログで、社会福祉の勉強において、各法令ごとに知らない知識を纏めた件についてお伝えしました。
そこで、まずはこのブログの管理人に一番身近な法律である、育児・介護休業法について厚生労働省より出されている資料に基づき、過去問題で出題された箇所やその周辺知識について実体験を元にご紹介します。
参考資料:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
第2章の第5条に育児休業についての記載があります。
労働者は、その養育する 1 歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。
また、有期雇用者の育休の申請については但し書きがされています。
よって、原則として労働者は事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができると言う意味になります。
この規定により私も会社に申請を行い、育休を取得しました。
そして、事業主の義務についても第6条にこのような記載があります。
事業主は、労働者からの育児休業申出があったときは、当該育児休業申出を拒むことができない。
こちらも同様に但し書きがあるので原則として事業主は、労働者からの育児休業の申し出あった場合拒むことができないという意味になるかと思います。
私の場合、子どもが1歳になる時点で保育園が決まらなかったので、1歳6ヶ月までの育休の延長を会社に希望しました。
これについては、第5条の3に記載がされています。
その内容を纏めますと、労働者又はその配偶者が子の 1 歳到達日において育児休業をしている場合、それ以降の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合に限り事業主に申し出ることにより、子が1歳6ヶ月に達するまで育児休業を取得できるということになるかと思います。
1歳到達日において育児休業をしている場合について、「労働者」だけでなく、「労働者又はその配偶者」とされていることに注意が必要です。
「雇用の継続のために特に必要と認められる」とありますが、保育園の入所不承諾等がこれに当たるかと思います。
また、私の場合1歳6ヶ月までの育休の延長を希望したのですが、会社の人事担当者のお話によると「育休は1回しか延長できないので、保育園が再び決まらなかったときのために2歳の誕生日の前日まで育休を延長しませんか?」
と言われました。
これについては知らなかったのですが、第7条の3に規定があり、要約すると次のようになります。
育休の申出をした労働者は、厚生労働省令で定める日までにその事業主に申し出ることにより、育休終了予定日を 1回に限り終了予定日以降に変更することができる。
保育園の激戦区だと、1歳6ヶ月になっても保育園が決まらないことはよくある話だと思います。
しかし、この事実を知らず、会社の人事担当者にも何も言われなかったとすれば、恐らく1歳6ヶ月までしか育休を取得できないことになります。
結果的に私は、1歳6ヶ月になっても保育園は決まらず、結局2歳の誕生日まで決まることはありませんでした。
ここで育休の2歳までの延長についてですが、厚生労働省の資料によると、この制度が整ったのは平成29年の法改正からだそうです。
参考資料:平成29年改正法の概要
参考資料:育児休業を取得中(取得予定)の方・育児休業給付金の申請手続を行う事業主の方へ
こちらの資料によると、保育所等の入所不承諾等の理由がある場合、子が2歳に達する日前まで育児休業給付金の支給対象期間が延長できるということになります。
この資料に記載の通り、職場復帰のタイミングは労働者の選択に委ねられるので早期の復帰を促すことは、ハラスメントに当たらないようです。
しかしながら、第6条に示されているように 原則として事業主は、労働者からの育児休業の申し出あった場合拒むことができないので、育休の延長の場合も同様です。
参考資料:「育児休業」の延長を予定されている労働者・事業主の皆さまへ
上記の参考資料には、「明らかに制度趣旨とは異なる育児休業の延長の申出があった場合には、やむを得ない理由がある場合を除き、育児休業の延長の申出ができないこととなります」とあります。
つまり、保育園の入園に関わる不承諾通知等が無い場合は、事業主が育休の申請を却下したとしても違法とはならないと言うことになります。
よって、「原則として」と言う言葉がここでも入り、 労働者の申請による育休の延長の場合も、原則として事業主は拒んだ場合に違法となるということになります。
ちなみに育休は復帰を原則とした制度です。
私も育休中に保育士試験の勉強をしていたものの、復帰して暫くは働くつもりでした。
私の場合、保育園の入園不承諾により退職をしたのですが、それ以外でも育休後の退職はマナー違反ではありますが認められているようです。
改正後の育児・介護休業法
育児・介護休業法については、何度か法改正が行われています。
過去問で改正法からの出題があったので少しご紹介します。
平成21年の改正法
平成21年の改正法については、厚生労働省より非常に分かり易い資料が出されています。
参考資料:改正育児・介護休業法のあらまし
P.7に主な改正内容が5つに分けられ示されています。
まずは、「1 子育て中の働き方の見直し」について取り上げます。
P.12に改正後の育児・介護休業法の概要が記載されています。
・事業主は、3歳に満たない子を養育する労働者であって育児休業をしていないものについて、労働者の申出に基づく短時間勤務の措置を講じなければならない。
・事業主は、3歳に満たない子を養育する労働者が請求した場合は、所定労働時間を超えて労働させてはならない。
このような法整備がされている一方で、私の友人を例にとると、彼女は派遣社員であり、育休からの復職について派遣会社の上司より「コロナの影響で時短勤務、あるいは残業ができない等の制限が付いてしまう方は仕事先が決まりにくくなっている」と言われたそうです。
あくまでこれは情報の提供であって、会社としては労働者からの申し出があった場合に短時間勤務制度や所定外労働の免除ついて義務が課せられています。
しかし、友人はこのような上司からの情報を聞くと、時短や所定外労働の申請を断念せざるを得ないと言っていました。
そうしないと仕事が決まらない可能性があるからです。
ただ一方で東京・横浜等の大都市圏については例え子どもが3人居たとしても条件が叶うようです。
大都市についてはそれだけ通勤可能圏内に会社の数も沢山あるからです。
事業主に義務付けがされたところで、申請を断念せざるを得ない社会の現状があったり、大都市やそうでない地域でも差があるようです。
次に子の看護休暇についてもP.12に記載がありました。
従来は、労働者は子の人数に関わらず小学校入学までの子について、有給休暇以外に一律年5日までの看護休暇を取得できるとされていたのが、改正法では、2人以上であれば年10日までと拡充されたようです。
この場合、1年間とは、4月1日から3月31日までを指します。
育休後に復職した何人かの友人に話を聞いても子供の風邪等で毎年年休は全て消化するようです。
第16条の2に「負傷し、又は疾病にかかった子の世話又は疾病の予防を図るために必要な世話」とあり、子どもの病気や予防接種、健康診断でも利用できるようです。
また、第16条の3に子の看護休暇の申出があった場合における事業主の義務等についての記載があり、原則として、事業主は労働者から看護休暇の申し出があった場合は拒むことができないことが記載されています。
下記資料に記載の通り、拒むことができる場合もあります。
参考資料:子の看護休暇制度
続いて「2 父親も子育てができる働き方の見直し」についてです。
まずはこちらの令和元年に出された育児休業の取得状況に関する資料によると、女性の場合は約8割で横ばいで推移していることがわかります。
参考資料:男性の育児休業の取得状況と取得促進のための取組について 令和元年7月
一方、男性の育児休業取得率については、ここ数年で右肩上がりで平成30年度については6.16%となっているものの、依然として2桁には及ばず、改正法が出された平成21年前後については1%代に留まっていることが分かります。
共働きがこれだけ増えているにも関わらず、男性が育休を取得することの難しさが窺えます。
そう言った背景もあり、改正育児・介護休業法のあらましについてP.7の主な改正内容では次のように記載されています。
・ 父母がともに育児休業を取得する場合、1歳2か月(現行1歳) までの間に、1年間育児休業を取得可能とする(パパ・ママ育休プラス)。
・ 父親が出産後8週間以内に育児休業を取得した場合、再度、育児休業を取得可能とする。
・ 配偶者が専業主婦(夫)であれば育児休業の取得不可とすることができる制度を廃止する。
こうして、育児休業からの復帰後の働き方が見直されたようです。
平成28年改正法
平成28年改正法については下記の参考資料が出されています。
参考資料:平成28年改正法の概要
こちらの資料から重要と思われる部分を抜粋します。
・特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子その他これらに準ずるものについては育児休業制度等の対象に追加する。
育児休業制度の対象に特別養子縁組監護期間中の子や養子縁組里親に委託されている子が加えられました。
平成29年改正法
「実体験を元に纏めると」で示したように、平成29年より育児休業期間が最長2年まで延長されました。
参考資料: 平成29年改正法の概要
参考資料:育児休業を取得中(取得予定)の方・育児休業給付金の申請手続を行う事業主の方へ
令和元年改正法
ご注意いただきたいのは、施行は令和3年1月1日です。
参考資料:令和3年改正法の概要
参考資料:リーフレット「子の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります!」
平成28年に「子の看護休暇の半日単位の取得を可能とする」。また、「1⽇の所定労働時間が4時間以下の労働者は取得できない」と改正されたのですが、令和元年改正法では次のような内容に改正されました。
⼦の看護休暇は、労働者の希望する時間単位で始業時刻から連続⼜は終業時刻まで連続して取得することができ、全ての労働者が取得できるようになりました。
個人的に、中抜けの法整備もされたらもっと使いやすくなるのになと感じたのですが、中抜けについてはまだ規定されていないようです。
上記はいずれも「労働者からの申し出による」や「労働者が請求した場合は」となっており、申し出や請求があった場合は当該措置を取ることが原則として義務とされています。
ちなみに育児休業給付金については会社等の健康保険からではなく、雇用保険より支払われます。
育休明けに有給を取得して退職できる?
この項は本試験には関係の無い話にはなるでのすが、育休明けに有給を取得して退職することはできるのでしょうか?
産休に入る前に有給を全て消化したとしても、私のように丸2年の育休を取得すると、育休中の在籍期間分の有給が発生します。
私の場合は、約2~3ヶ月分の有給が余っており、育休後に復職せずに有給を取得して退職することも不可能ではないことは知っていました。
しかし、さすがに2年も育休を取得し、保育園は決まらなかったものの、自己都合で夫の転勤について行っているので特に有給については触れずに自己都合退職させていただく旨を会社に伝えました。
ところが、退職日の2週間前にして、会社の上司から直接電話があり、次のような内容を伝えられました。
「有給を取得してから退職できるように本社に伝えるのでそうしないか?」
長く勤めて真面目に働いていると良いこともあるものです。
退職日は変更することができないので、育休の終了日を変更する手続きを行い、1ヶ月分の有給をもらって退職することができました。
終了日を短縮したものの、特に終了日までの育児休業手当ては返却しなくて良いということでした。
私の会社の上司の話によると、育休終了後に有給を取得して退職することは労働者の権利として認められているようで、この辺りは労働基準法に絡んでくるのかもしれません。
とは言え、育休は復帰を原則とした休暇ですので会社によっても考え方が違うのかもしれません。
ちなみに育休後は元の部署に戻ることを原則としている会社が多いようで、私の場合は転勤後の市町村の部署で保育園の入所申し込みをしたため自己都合退職をさせていただきました。
まとめ
黄色マーカーを引いた部分が過去問で出題された箇所やその周辺知識になります。
当然、過去問で出題された問題は要チェックですが、出題されたことのない問題を出題するのも保育士試験です。
改正法等は試験に出題されやすい傾向にあるので資料にしっかりと目を通すことをお勧めします。
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