保育士資格取得後に考えること ~特例制度を利用して幼稚園教諭免許を取得するには?~

保育士と幼稚園教諭の資格を併せ持つ保育教諭の免許を得るメリットとは?

2つのシャボン玉が隣り合って飛んでいる様子。

私が幼稚園教諭の免許を取得したいと思った一番の理由は、認定こども園の数が年々全国的に増え続けている社会情勢にあります。

実際に私が住んでいる市町村でも、本来預かり保育を行っていなかった幼稚園のほとんどが、認定こども園になっており、18~19時頃までの預かり保育を行っています。

また、幼稚園ほどではないですが、保育園でも認定こども園化は進んでおり、幼稚園のように保護者が働いていない園児を受け入れたり、教育的要素を取り入れている保育園もあります。

認定こども園の場合、保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を併せ持つ保育教諭の免許を持っている人材を積極的に採用していますが、預かり保育がある以上、保育士の採用も行っている園がほとんどです。

つまり、保育士の資格しか所持していなかったとしても幼稚園で働くことは可能になります。

しかしながら保育教諭の免許を持っていると、教育にも携わることができ、保育士資格のみの場合に比べ、採用に有利なだけでなく、業務の幅が広がり、給料面でも多少優遇されます。

このように、所持しているとメリットが多い保育教諭の免許ですが、保育士資格所持者が幼稚園教諭免許を取得するにはどうすれば良いでしょうか?

保育士が幼稚園教諭になるための特例制度とは?

保育士資格を持つ者が、一定の条件を満たすことで幼稚園教諭の免許を取得し、保育教諭となれることをご存知でしょうか?

通常、幼稚園教諭の免許を取得しようと思うと、大学や短大、通信制大学や専門学校で幼稚園教諭の教職課程の単位を取得し都道府県の教育委員会に申請することで資格を得ることができます。その場合、当然学費が発生するので、卒業までに数百万円は見ておかないといけません。

ところが、保育士資格を持っていると期限と条件付きの特例制度を利用して、短期間かつ低予算で幼稚園教諭の免許を取得することができます。

参考記事:幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例(文科省)

幼稚園教諭免許特例制度の期限は?

まずは特例制度の期限についてです。

この特例制度は、認定こども園法一部改正法の施行日である平成27年4月より5年間とされていましたが、その後、改正法の施行日より10年間に延長され、令和6年度末(2025年3月末)までとなりました。

保育士等としての実務経験とは?

特例制度を利用して幼稚園教諭免許を取得するための条件として、まずは保育士としての実務経験が必要になります。

文部科学省のHPに、保育士としての実務経験年数が3年以上、実労時間の合計が4320時間以上であることとの記載があります。

上記でお伝えしたように、特例制度には期限があり、既に期限まで残り3年を切ってしまっているので、これから保育士としての就職をしようと考えている人は実務経験年数が3年に満たず、条件を満たすことができません。

ただし、今現在保育士として勤務していなくても過去に保育士として、対象施設において3年かつ4320時間以上の勤務実績がある場合、特例制度の対象となります。

では、この4,320時間とはどの程度の時間なのでしょうか?

1ヶ月に20日勤務するとして計算すると、1日辺り6時間程度の勤務時間になります。

よって、時給にもよりますが扶養内等で働く場合、3年では4,320時間の要件を満たせない可能性はあります。

幼稚園教諭免許特例制度の対象施設とは?

「保育士等としての実務経験」とみして認められる対象施設については、各都道府県において、対象施設一覧を作成することとなっています。

各都道府県の教育委員会により、公示されていますが、例えば東京都の場合、下記の施設が対象になることが記載されています。

その他の都道府県についても表記の仕方に多少の違いはあるものの、おおむね下記内容と大きな隔たりはないことが多いです。

①認定こども園における保育士
②認可保育所における保育士
③幼稚園(特別支援学校の幼稚部を含む)において預かり保育を担当したり、学級担任の補助職員として勤務するなど「専ら幼児の保育に従事する職員」
④小規模保育施設(A 型・B 型のみ)における保育士
⑤事業所内保育施設(定員6名以上のみ)における保育士
⑥幼稚園併設型認可外保育施設における保育士
⑦認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書が交付された認可外保育施設(1日に保育する乳幼児の数が6人以上)(認証保育所を含む。)における保育士
⑧公立の認可外保育施設(へき地保育所を含む。)における保育士

ただし、⑥⑦⑧のうち下記の施設は対象外です。
・利用児童の半数以上が、一時預かり
・利用児童の半数以上が、22時から翌日7時までの全部又は一部の利用
・家庭的保育事業(保育ママ)

参考資料:保育士としての勤務経験がある方へ(東京都教育委員会)

対象施設には、市の子育て支援センター等の一時預かり施設などは含まれていないことに注意が必要です。

また、上記対象施設において、「専ら幼児の保育に従事する職員」とされているので、事務職等は含まれません。

大学において修得が必要な単位を8単位修得すること

特例制度を利用して幼稚園教諭免許を取得する場合、対象となっている大学において必要な単位を8単位修得する必要があります。

この際、保育士資格に加え、学士の学位を有していれば、幼稚園教諭の一種免許状を取得することができます。そして、保育士資格のみ所持している場合には、二種免許状の取得が可能になります。

一種と二種で、採用や業務の違いに差はないことがほとんどですが、将来的に昇進を望んだり、園長等のポジションに就きたいと考える場合、一種の方が有利になることが多いです。

参考資料:<大学において修得することが必要な最低単位数の詳細>(文科省)

では、特例制度に必要な8単位を修得するための講座を開講している大学とはどのような大学があるでしょうか。

文部科学省のHPに「特例対象講座・科目も開設(予定)大学」の一覧が掲載されています。

こちらに掲載されている大学は全て、通学での開講講座になりますが、大学によっては講座受講の条件として「本学学生」や「本学卒業生」のみとしている大学があるため、詳細は各大学の教務課にお問い合わせ下さい。

参考資料:特例対象講座・科目の開設(予定)大学(令和4年4月現在)

一方、受講料を抑え、働きながらや育児をしながら隙間時間に勉強をしたい人などは通信制の大学を選択する方法もあります。

各都道府県教育委員会の教育職員検定に合格すること

保育士として特例制度の対象施設において、3年間で計4320時間の実務経験を積み、指定大学で必要な8単位を修得するだけでは幼稚園教諭免許を取得することはできず、教育教員検定に合格しなければなりません。

とは言っても、教育教員検定とは特別な試験がある訳ではなく、必要書類を都道府県教育委員会に提出することで合格か否かが決まるようです。

具体的には、実務に関する証明書(実務証明書)、学力に関する証明書、その他の都道府県教育委員会が定める必要書類となっています。

よって、期限内に必要条件を満たし、必要書類を揃えて都道府県教育委員会に提出すれば、特に試験を受けることなく晴れて幼稚園教諭免許を取得することができます。

ただし、大学で必要な単位を修得する際の単位認定のための試験は、各科目の受講後にそれぞれの科目で行われる場合がほとんどです。

参考資料:(別紙) 「特例制度の実施について(依頼)」

参考資料:附則第18項 幼稚園教諭

特例制度を利用して大学で8単位修得するための費用は?

一般的に通信制よりも通学の方が受講料が高くなる場合が多いです。

先ほどお伝えしたように、費用を抑え、仕事や育児をしながら隙間時間に勉強する場合は通信制大学を選択する方法があります。

では、通信制の大学の場合、特例制度に必要な8単位を修得するための費用はどのくらいになるでしょうか?

一例を挙げますと、以下のような金額になります。ただし、単位修得までの期間や卒業生への免除金制度がある場合もあるので詳細は大学にお問い合わせ下さい。

・放送大学 51,000円
(入学料7,000(円/半年)+5,500(円/単位)×8(単位))
 参考資料:幼稚園教諭免許(特例制度利用)(放送大学)

・日本福祉大学 7,9000円
(入学金10,000(円)+69,000(円/単位))
 参考資料:学費・お申し込み方法(日本福祉大学)

通信制大学の場合、入学金を含めて5~10万円程度の費用で幼保特例制度の要件である8単位が修得可能になります。

幼稚園教諭の免許取得後は、すぐに幼稚園で働くことができるか?

幼稚園教諭の免許取得後は、すぐに幼稚園教諭として働くことができるのでしょうか?

これは、公立の幼稚園で働くか私立の幼稚園で働くかによって、道が分かれます。

公立の幼稚園で働く場合は公務員として自治体に採用してもらう必要があるため、幼稚園教員採用試験に合格しなければなりません。

自治体によりますが、年齢制限があったり、試験の難易度も倍率も高くなりがちです。

私立幼稚園の場合も採用試験はありますが、園独自の試験になるため、ピアノの試験を実施する園は多いかもしれませんが、基本的には企業に就職する場合と同様の扱いになります。

まとめ

❍ 幼稚園や保育園の認定こども園への移行が進んでおり、保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を併せ持つ、保育教諭の需要がますます高まっている。

❍ 保育教諭の免許を持っていると、教育にも携わることができ、保育士資格のみの場合に比べ、採用に有利なだけでなく、業務の幅が広がり、給料面でも多少優遇される。

❍ 幼保特例制度を利用するには、令和6年度末(2025年3月末)までに保育士として対象施設において、実務経験年数が3年以上、実労働時間4320時間の勤務実績を積む必要がある。

❍ 幼保特例制度を利用して幼稚園教諭免許を得るには、大学で必要な単位数を8単位修得する必要があるが、通学に比べ通信制の方が費用が安く済み、隙間時間に学習することが可能である。

❍ 幼稚園教諭の免許取得後は、採用試験に合格することで幼稚園教諭として働くことができる。

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