※「私のノート」については、あくまでも「私のノート」です。記載している内容については、勉強法や纏め方を参考にする程度に留めていただき、ご自身で各種法令や外部資料等で事実確認されることをお勧めします。
最初に
雇用保険法では失業等給付、育児休業給付を行うほか、二事業として、雇用安定事業、能力開発事業について規定されており、これらを行うことで労働者の生活及び雇用の安定を図ることを目的とした法律です。
失業等給付は、大きく分けて、求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付及び雇用継続給付です。それぞれの給付の中でも手当の種類がいくつか分かれてます。
育児休業給付については、現在は失業等給付から独立した給付となっています。
また、雇用保険の二事業については、事業主を支援するための事業です。
ここで、雇用保険法で確認すべき箇所は、雇用保険法に規定されている給付の種類や支給要件、国や労使の保険料の負担割合、二事業の内容についてです。
また、雇用保険法に関連して、求職者支援制度、労働者災害補償保険制度についても過去問題で出題されたことがあるためここで取り上げています。
参考資料:雇用保険法 昭和49年
参考資料:雇用保険制度の概要 厚労省
雇用保険の保険料は、労働者と雇用主が2分の1ずつ折半するよ。
目的
・雇用保険は、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。
→第1条に詳細記載。
雇用保険は、上記の目的を達成するため、失業等給付、育児休業給付を行うほか、雇用安定事業、能力開発事業を行うことが第3条に記載されているよ。
管掌
・雇用保険は、政府が管掌する。
→第2条に記載。
・雇用保険の事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。
→第2条の2に記載。
適用除外
雇用保険法が適用されない者について、第6条に記載があるよ。例外もあるため、しっかりと法律を確認することをお勧めするよ。
・原則として、1週間の所定労働時間が20時間未満である者。
・原則として、同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者。
・季節的に雇用される者の内、短期雇用特例被保険者でない者(4ヶ月以内の期間を定めて雇用され、1週間の所定労働時間が20時間以上、30時間未満である者)。
・学校教育法の学校の学生又は生徒であって、短期雇用特例被保険者でない者。
・船員法に規定する船員であって、漁船に乗り組むため雇用される者(1年を通じて船員として適用事業に雇用される場合を除く。)
・国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者のうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、求職者給付及び就職促進給付の内容を超えると認められる者。
失業等給付
第10条に失業等給付について記載があります。
失業等給付の保険料負担は、国庫負担分以外は労働者・事業主折半だよ。
・失業等給付は、求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付及び雇用継続給付とする。
※上記に関わらず、高年齢被保険者に係る求職者給付は、高年齢求職者給付金とし、短期雇用特例被保険者に係る求職者給付は、特例一時金とし、日雇労働被保険者に係る求職者給付は、日雇労働求職者給付金とする。
・失業等給付の支給を受けることができる者が死亡した場合において、未支給のものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹の順である。
・偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずることができる。また、支給を受けた失業等給付の額の二倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる。
求職者給付
・求職者給付は、基本手当、技能習得手当、寄宿手当、傷病手当とする。
・求職者給付の支給を受ける者は、必要に応じ職業能力の開発及び向上を図りつつ、誠実かつ熱心に求職活動を行うことにより、職業に就くように努めなければならない。
・求職者給付の国庫負担は、一般求職者給付(基本手当等)、短期雇用特例求職者給付(特例一時金)については4分の1、日雇労働求職者給付金は3分の1、高年齢求職者給付については国庫負担なし。
→第66条に詳細記載。
基本手当
・一般被保険者が失業した際、以下の条件に該当し、4週間に1回、公共職業安定所において、失業状態にあることの認定を行うことで支給される。
・基本手当は、被保険者が失業した場合において、原則として離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12ヶ月以上であったときに支給する。
→第13条に詳細記載。
※倒産、解雇等による離職者又は有期労働契約が更新されなかったこと等による失業の場合、離職日から1年間に、被保険者期間が6ヶ月以上必要の場合、支給される。
技能習得手当
・技能習得手当は、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける場合に、その公共職業訓練等を受ける期間について支給する。
→第36条に詳細記載。
寄宿手当
・寄宿手当は、受給資格者が、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるため、その者により生計を維持されている同居の親族と別居して寄宿する場合に、その期間について支給する。
→第36条2に詳細記載。
傷病手当
・傷病手当は、受給資格者が、離職後公共職業安定所で求職の申込みをした後、疾病又は負傷のために職業に就くことができない場合に、基本手当の支給を受けることができない日について支給する。
→第37条に詳細記載。
高年齢求職者給付金
・65歳以上の被保険者(高年齢被保険者)が失業した場合には、高年齢求職者給付金を支給する。
→第37条の2に詳細記載。
短期雇用特例求職者給付(特例一時金)
・被保険者であって、季節的に雇用されるもののうち「短期雇用特例被保険者(1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満であり、4ヶ月以内の期間雇用される者)」が失業した場合には、特例一時金を支給する。
→第38条に詳細記載。
・特例一時金は、離職前1年間に被保険者期間が6か月以上ある場合に、基本手当日額の30日分の特例一時金が支給される。
日雇労働求職者給付金
・被保険者である日雇労働者(30日以内の期間を定めて日々雇用される者)であって、「日雇労働被保険者」が失業した場合には、日雇労働求職者給付金を支給する。
→第42、43条に詳細記載。
就職促進給付
・就職促進給付は、就業促進手当、移転費、求職活動支援費とする。
・就業促進手当は、再就職手当、就業促進定着手当、就業手当などがある。
→第56条の3に詳細記載。
・就職促進給付は、国庫負担なし。
参考資料:ハローワーク 就職促進給付
再就職手当
・再就職手当は、基本手当の受給資格がある人が安定した職業に就いた場合に基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あり、一定の要件に該当する場合に支給される。
就業促進定着手当
・就業促進定着手当は、再就職手当の支給を受けた人が、引き続きその再就職先に6ヶ月以上雇用され、かつ再就職先で6ヶ月の間に支払われた賃金の1日分の額が雇用保険の給付を受ける離職前の賃金の1日分の額に比べて低下している場合、就業促進定着手当の給付を受けることができる。
就業手当
・就業手当は、基本手当の受給資格がある人が再就職手当の支給対象とならない常用雇用等以外の形態で就業した場合に基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上あり一定の要件に該当する場合に支給される。
移転費
・移転費は、受給資格者等が公共職業安定所や職業紹介事業者の紹介した職業に就くため、又は公共職業訓練等を受けるために、その住所又は居所を変更する場合において、必要な場合に支給する。
→第58条に詳細記載。
求職活動支援費
・求職活動支援費は、受給資格者等が求職活動に伴い、公共職業安定所の紹介による求職活動や教育訓練の受講等を行った場合に支給する。
→第59条に詳細記載。
教育訓練給付
・教育訓練給付は、教育訓練受講に支払った費用の一部を支給するとともに、専門実践教育訓練を受講する45歳未満の離職者に対しては、基本手当が支給されない期間について、受講に伴う諸経費の負担についても支援を行うことにより、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とする雇用保険の給付制度。
→第60条の2に詳細記載。
・教育訓練給付は、国庫負担なし。
参考資料:教育訓練給付制度 ハローワーク
雇用継続給付
・雇用継続給付は、高年齢雇用継続基本給付金及び高年齢再就職給付金、介護休業給付金とする。
・高年齢雇用継続給付は、高年齢雇用継続基本給付金及び高年齢再就職給付金に分かれ、雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の一般被保険者が、原則として60歳以降の賃金が60歳時点に比べて、75%未満に低下した状態で働き続ける場合に支給される。
参考資料:雇用継続給付 ハローワーク
・雇用継続給付の国庫負担は、高年齢雇用継続基本給付金は負担なし、介護休業給付は8分の1。
→第66条に詳細記載。
令和2年の法改正までは、雇用継続給付に育児休業給付も含まれていたけれど、今は育児休業給付は失業等給付から独立しているよ。
高年齢雇用継続基本給付金
・高年齢雇用継続基本給付金とは、60歳以降、失業保険による基本手当や再就職手当を受け取っていない人を対象とし、上記の高年齢雇用継続給付の条件に該当する場合に給付される。
高年齢再就職給付金
・高年齢再就職給付金は、60歳で定年退職後、失業保険の基本手当の支給残日数が100日以上あり、別の企業(1年以上継続して雇用されることが見込まれる)に再就職した人を対象とし、上記の高年齢雇用継続給付の条件に該当する場合に給付される。
介護休業給付金
・介護休業給付金は、被保険者が、対象家族、父母及び子を介護するための休業をした場合において、介護休業開始日前2年間に、みなし被保険者期間が通算して12ヶ月以上であったときに、支給する。
→第61条の4に詳細記載。
失業の認定
「失業」の定義については、被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあることが、第4条に記載があるよ。
・「失業の認定」を受けようとする受給資格者は、離職後、公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをしなければならない。
→第15条2に詳細記載。
・失業の認定は、原則として、受給資格者が求人者に面接したこと、公共職業安定所その他の職業安定機関若しくは職業紹介事業者等から職業を紹介され、又は職業指導を受けたことその他求職活動を行ったことを確認して行うものとする。
→第15条5に詳細記載。
・基本手当を支給する日数(所定給付日数)は、原則として、算定基礎期間が20年以上である受給資格者は150日、10年以上20年未満である受給資格者は120日、算定基礎期間が10年未満である受給資格者は90日。
※厚生労働省令で定める理由により就職が困難なものに係る所定給付日数は、その算定基礎期間が1年以上の受給資格者にあっては基準日において45歳以上65歳未満である受給資格者は360日、基準日において45歳未満である受給資格者は300日、1年未満の受給資格者にあつては150日とする。
→第22条2に詳細記載。
・算定基礎期間は、原則として、受給資格者が基準日まで引き続いて同一の事業主の適用事業に被保険者として雇用された期間である。
→第22条3に詳細記載。
育児休業給付
・育児休業給付金は、被保険者が、原則としてその1歳に満たない子を養育するための休業をした場合、休業開始日前2年間に、みなし被保険者期間が通算して12ヶ月以上であったときに支給する。
→第61条の6に詳細記載。
・育児休業給付の国庫負担は、8分の1、残りは労使折半。
→第66条に詳細記載。
「育児・介護休業法」という法律があるけれど、育児休業給付金は、「雇用保険法」が根拠法となっているよ。また、会社の健康保険からではなく、雇用保険から支払われるよ。
雇用保険二事業
雇用保険の被保険者ではなく、事業主を支援するための事業として、「雇用安定事業」と「能力開発事業」の二事業があり、これらの事業は全額事業主負担だよ。
参考資料:雇用保険二事業について 厚労省
雇用安定事業
・政府は、被保険者等に、失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大その他雇用の安定を図るために雇用安定事業を行うことができる。
→第62条に詳細記載。
・雇用安定事業として、事業主に対する助成、中高年齢者等再就職の緊要度が高い求職者に対する再就職支援、若者や子育て女性に対する就労支援がある。
事業主に対する助成金
・若年者や中高年齢者の試行雇用を促進(試行雇用奨励金)
・高齢者や障害者を雇用する事業主を支援(特定求職者雇用開発助成金)
・創業や雇用を増やす事業主を支援(自立就業支援助成金、地域雇用開発助成金)
・失業予防に努める事業主を支援(雇用調整助成金)
・仕事と子育ての両立を支援(育児・介護雇用安定等助成金) 等
中高年齢者等再就職の緊要度が高い求職者に対する再就職支援
・就職支援ナビゲーターや再チャレンジプランナーによるきめ細かい就職相談・職業紹介等
若者や子育て女性に対する就労支援
・ジョブカフェ、マザーズハローワーク等における職業紹介、情報提供 等
能力開発事業
・政府は、被保険者等に関し、職業生活の全期間を通じて能力を開発し、向上させることを促進するため、能力開発事業を行うことができる。
→第63条に詳細記載。
・在職者や離職者に対する訓練、事業主が行う教育訓練への支援、職業能力評価制度の整備、ジョブ・カード制度の構築がある。
在職者や離職者に対する訓練
・日本版デュアルシステムの実施
・公共職業能力開発施設の設置・運営
・専修学校等の民間教育機関を活用した職業訓練の推進
事業主が行う教育訓練への支援
・キャリア形成促進助成金 等
求職者支援制度について
雇用保険法からは逸脱するけれど、「求職者支援制度」と言い、離職して雇用保険を受給できない人や収入が一定額以下の在職者の人などが、生活支援金を受給しながら、無料の職業訓練を受講できる制度があるよ。
・求職者支援制度の費用負担は、国が2分の1、労使負担が2分の1。
参考資料:求職者支援制度のご案内 厚労省
参考資料:職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律 平成23年
労働者災害補償保険制度について
雇用保険法に関連して、労働者災害補償保険法からも過去に出題があったよ。
参考資料:労働者災害補償保険法 昭和22年
参考資料:労災補償 厚労省
・労働者災害補償保険は、業務上の事由、複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に関して保険給付を行うほか、社会復帰促進等事業を行うことができる。
→第2条の2に詳細記載。
・保険給付は、「業務災害(労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡)」、「複数業務要因災害(複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする負傷、疾病、障害又は死亡)」、「通勤災害(労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡)」、二次健康診断等給付とする。
→第7条に詳細記載。
・政府は、労災保険の適用事業に係る労働者及びその遺族について、社会復帰促進等事業を行うことができる。
→第29条に詳細記載。
・労災保険制度の保険者は国であり、保険料は全額事業主負担。
・労災保険は、原則として 一人でも労働者を使用する事業は、業種の規模の如何を問わず、すべてに適用される。
・労災保険は、アルバイトやパートタイマー等の雇用形態は関係ない。
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