最初に

障害者虐待防止法については、正式名称は、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」になります。平成23年に制定されています。
障害者関連の法律は多数存在しますが、紛らわしい法律に、障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)があります。全く別の法律になるのでご注意下さい。
参考資料:障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律 平成28年改正
参考資料:障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律の概要
目的
障害者に対する虐待の禁止、障害者虐待の予防及び早期発見その他の障害者虐待の防止等に関する国等の責務、障害者虐待を受けた障害者に対する保護及び自立の支援のための措置、養護者に対する支援のための措置等を定めることにより、障害者虐待の防止、養護者に対する支援等に関する施策を促進し、もって障害者の権利利益の擁護に資することを目的とする。
→第1条に詳細記載。
定義
・「障害者」とは、身体・知的・精神障害その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活・社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
→第2条に詳細記載。
・「障害者虐待」とは、養護者による障害者虐待、障害者福祉施設従事者等による障害者虐待及び使用者による障害者虐待をいう。
→第2条2に記載。
・障害者虐待の類型は、①身体的虐待、②放棄・放置、③心理的虐待、④性的虐待、⑤経済的虐待の5つ。
→第2条6~8に詳細記載。
国、地方公共団体の責務
・国及び地方公共団体は、障害者虐待の予防及び早期発見その他の障害者虐待の防止、障害者虐待を受けた障害者の迅速かつ適切な保護及び自立の支援並びに適切な養護者に対する支援を行うため、関係省庁相互間その他関係機関及び民間団体の間の連携の強化、民間団体の支援その他必要な体制の整備に努めなければならない。
→第4条に記載。
・国及び地方公共団体は、これらの職務に携わる専門的知識及び技術を有する人材その他必要な人材の確保及び資質の向上を図るため、関係機関の職員の研修等必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
→第4条2に詳細記載。
・国及び地方公共団体は、障害者虐待に係る通報義務、人権侵犯事件に係る救済制度等について必要な広報その他の啓発活動を行うものとする。
→第4条3に詳細記載。
国民にも、国又は地方公共団体が講ずる障害者虐待の防止、養護者に対する支援等のための施策に協力する努力義務が課せられています。
障害者虐待の早期発見
・国及び地方公共団体の障害者の福祉に関する事務を所掌する部局その他の関係機関は、障害者虐待の早期発見に努めなければならない(努力義務)。
→第6条に詳細記載。
・障害者福祉施設、学校、医療機関、保健所その他障害者の福祉に業務上関係のある団体並びに障害者福祉施設従事者等、学校の教職員、医師、歯科医師、保健師、弁護士その他障害者の福祉に職務上関係のある者及び使用者は、障害者虐待の早期発見に努めなければならない(努力義務)。
→第6条2に詳細記載。
通報を受けた場合の措置
・市町村は、障害者虐待に係る通報又は届出を受けたときは、速やかに、当該障害者の安全確認、事実確認のための措置を講ずるとともに、市町村障害者虐待対応協力者とその対応について協議を行うものとする。
→第9条に詳細記載。
・市町村は、障害者虐待に係る通報又は届出があった場合に、生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認められる障害者を一時保護するため迅速に当該市町村の設置する障害者支援施設又は障害者支援施設等に入所させる等、適切な措置を講ずるものとする。
→第9条2に詳細記載。
養護者による障害者虐待に係る通報等
・養護者による障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。
→第7条に記載。
・市町村長は、養護者による障害者虐待により障害者の生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認めるときは、障害者の福祉に関する事務に従事する職員をして、立ち入り調査・質問をさせることができる。
→第11条に詳細記載。
障害者福祉施設従事者等による障害者虐待の防止等のための措置
・障害者福祉施設の設置者又は障害福祉サービス事業等を行う者は、施設従事者等の研修の実施、障害福祉サービスを受ける障害者及びその家族からの苦情の処理の体制の整備その他の施設従事者等による障害者虐待の防止等のための措置を講ずるものとする。
→第15条に詳細記載。
・障害者福祉施設従事者等による障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。
→第16条に記載。
・障害者福祉施設従事者等による障害者虐待を受けた障害者は、その旨を市町村に届け出ることができる。
→第16条2に詳細記載。
・障害者福祉施設従事者等は、通報をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いを受けない。
→第16条4に詳細記載。
・市町村は、障害者福祉施設従事者等による障害者虐待に係る通報を受けたときは、所在地の都道府県に報告しなければならない。
→第17条に詳細記載。
使用者による障害者虐待に係る通報等
・障害者を雇用する事業主は、労働者の研修の実施、当該事業所に使用される障害者及びその家族からの苦情の処理の体制の整備その他の使用者による障害者虐待の防止等のための措置を講ずるものとする。
→第21条に詳細記載。
・使用者による障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した者は、速やかに、これを市町村又は都道府県に通報しなければならない。
→第22条に詳細記載。
・使用者による障害者虐待を受けた障害者は、その旨を市町村又は都道府県に届け出ることができる。
→第22条2に詳細記載。
・労働者は、上記の届出をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いを受けない。
→第22条4に詳細記載。
保育所等に通う障害者に対する虐待の防止等
・保育所等の長は、保育所等に通う障害者に対する虐待に関する相談に係る体制の整備、虐待に対処するための措置その他の必要な措置を講ずるものとする。
→第30条に詳細記載。
その他に、就学する障害者に対する虐待の防止や医療機関を利用する障害者に対する虐待の防止についても定められています。
市町村障害者虐待防止センター
・市町村は、障害者の福祉に関する事務を所掌する部局又は当該市町村が設置する施設が市町村障害者虐待防止センターとしての機能を果たすようにするものとする。
→第32条に詳細記載。
・市町村障害者虐待防止センターは、障害者及び養護者に対して、相談、指導及び助言を行うこと。
→第32条2二に詳細記載。
・市町村障害者虐待防止センターは、障害者虐待の防止及び養護者に対する支援に関する広報その他の啓発活動を行うこと。
→第32条2三に詳細記載。
・市町村は、市町村障害者虐待対応協力者のうち適当と認められるものに、市町村障害者虐待防止センターの業務の全部又は一部を委託することができる。
→第33条に詳細記載。
都道府県障害者権利擁護センター
・都道府県は、障害者の福祉に関する事務を所掌する部局又は当該都道府県が設置する施設が都道府県障害者権利擁護センターとしての機能を果たすようにするものとする。
→第36条に詳細記載。
都道府県障害者権利擁護センターの業務について、第36条に記載されています。
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