完全独学よりも通信教育を選択すべきか?
私自身は、令和3年前期の保育士試験に一発合格したまでの人間ですが、通信教育などに頼ることなく最後まで完全独学を貫きました。
以前のブログでもお伝えしたように保育士試験の一発合格率は3~5%と言われており、資格偏差値としてはTOEICテストでスコア700を取得するより高いと言われています。
また、年々難易度が高くなっており、学習の初期の段階で独学での合格を諦めて通信教育などに頼る人も多いのではないでしょうか。
しかしながら、全ての科目が同等に難易度が高いかと言うとそうではなくて、私の考える限りでは社会福祉、教育原理、社会的養護の3科目の難易度が高く、9科目の内、残りの6科目については市販のテキストや問題集、過去問題のみで3ヶ月程度の独学で十分に合格レベルに達します。
私自身も最初は通信教育を利用して効率よく合格することを考えていたのですが、通信教育の場合、全ての科目がセット販売になっている場合が多く、科目受講が可能な場合については1科目辺りの受講料が高くなります。
そのため、3科目のみ受講しようとなると、もうセット販売を選ぼうかと思うような価格になってしまいます。
また、一発合格が叶わなかった場合、後から追加で科目受講しようとなると、当然、全科目のセット販売よりも1科目辺りの受講単価が高くなります。
このように、どうしても独学よりはコストは高くなってしまう通信教育ですが、コストを気にしない場合、その内容が充実しているのであれば最短ルートとも考えることができます。
通信教育の学習のみで合格は可能か?
通信教育の教材がどのような構成で作成されているのか、私は全く知りません。
しかしながら、必要な外部資料や法律が全て掲載されていると言うことは恐らくないのではなかと思います。
以前にも繰り返しお伝えしているように、保育士試験では厚生労働省等が出す外部資料や各種福祉に関する法律等からの出題が多数見られます。
通信教育に頼ることを選択する場合でも、これらの資料や法律は全て印刷し、一通り数年分の過去問は解いておく必要があります。
外部資料や法律については、市販のテキスト等によく「抜粋」と言う形で掲載されていますが、抜粋では情報が足りなさ過ぎるからです。
過去問題についても良問が「抜粋」された問題集が販売されていますが、同様に抜粋だけでは社会福祉等の難易度の高い科目を突破することは正直難しいです。
なぜなら、保育士試験ではテキストや問題集に「抜粋」されている箇所とは違う箇所が当然のように出題されるからです。
保育士試験において、この資料より頻出と言うことはあっても、この資料のこの箇所(=「抜粋」)より頻出と言うことはあまり無い話です。
よって、保育士試験においては、資料や法律の抜粋箇所による「頻出」と言う言葉や過去問題から良問が「抜粋」された過去問題集については、それのみで合格できるとは考えない方が良いでしょう。
このように、例え通信教育を選択したとしても結局は外部資料の印刷、児童福祉法等のボリュームの大きい法律書の購入、それらの暗記、数年分の過去問題の購入もしくは印刷、それらの演習については避けられないでしょう。
以上より、なるべく独学を貫きたいところですが、全ての人に完全独学がお勧めかと言うとそうではありません。
独学に向いている人もいれば、通信教育を利用した方が良い人もいます。
独学合格に向いている人とは?
筆記試験、実技試験を完全独学し終えた立場で、私の考える「独学での合格に向いている人」を独断と偏見で挙げてみるよ
何でも直ぐに疑いの目で見てしまう人
何でも直ぐに疑いの目で見てしまう性格は、日常生活で表に出してしまうとあまり良く見られないこともありますが、何か高額な物を購入するときや仕事上で取引するとき、あるいは資格試験の勉強においてはそう言った性格はプラスに働きます。
私の場合、通信教育での合格率を見た場合、数字自体は信用しますが、その数字が表す合格者は果たして通信教育の学習のみで合格できたのかと言うことをまず1番に考えます。
また、よく資格試験の対策に書かれている「これ1冊で合格」等の言葉は何を根拠にその言葉が書かれているのか判らない限り、信じることはありません。
私の場合、例え学校の先生等に「これだけやっておけば」等の言葉を言われても私の場合「これだけやる」ことは無く、「これだけ」に加え、自分が必要だと思ったことを追加で学習します。
あるいは、ネットで何か判らないことを検索していても参照元が判らない記事や根拠のない記事を信じることはあまりないです。
このように何でも直ぐに疑いの目で見てしまう性格の人は独学での合格に向いている人だと思います。
つまり、人の意見に流されたり鵜吞みにすることなく、自分で必要な情報を取捨選択する力のある方は独学での合格に向いている人だと考えています。
逆に何でも信じれるような人は、通信教育の内容がそれのみで合格できるように作られていた場合、寄り道をすることなく合格に辿り着けるのではないでしょうか。
感情移入しながら暗記ができる人
短期間で初めて耳にする人物名や聞いたこともない社会保障制度等を記憶しようと思うと、余程記憶力の良い人以外は文字を見ただけでは記憶に残らないかと思います。
それが普通だと思います。
では、記憶力が普通の人間が短期間で膨大な知識を頭に叩き込もうとするとどうすれば良いのか。
いかに自分の記憶に残すかは、いかに当事者の目線に立ち、自分の置かれた立場と結び付けて他人の問題を自分の問題として考えるかに懸かっているかと個人的には思っています。
これは、何かの勉強をする上で私の中で基本事項となっていることの一つです。
例えば、社会的養護を例に挙げます。
家庭で虐待などの理由があり児童養護施設に入所した児童が、逃げ場であるその施設でさらに虐待を受けている事実を知ると、私の場合、感情移入してしまい正直他人事とは思えません。
虐待が認められた施設、虐待の種別に目が行き、ついでになぜ虐待が起こってしまうのか、防ぐ方法はないのか…等々まで考えると、虐待を通告した人、虐待を行った職員の実務経験年数や発生時の状況等まですんなりと記憶に残ります(”被措置児童虐待への各都道府県市等の対応状況について”)。
また、児童養護施設の入所状況についても当てはまります。
児童養護施設と言うと、特別な事情のある家庭のみしか関係がないように感じるかもしれません。
しかし、最近言われているのが、父母2人共がコロナウイルスに感染し、他に頼れる人がいない場合、自分の子どもを児童養護施設へ短期入所させることも可能です。また、事故や病気で夫婦2人共亡くなり、施設に子供を預ける可能性もゼロではありません。
しかし、これらの虐待の事実を知ると、本当に我が子を施設に任せて良いのかと感じ、同じように入所している児童はどのような事情があるのかや都道府県別の虐待件数にまで目が行き、記憶に残ります。
社会的養護の分野ではこれらの資料からかなり細かいところまで問われますが、感情移入することで割と細かい数値まで記憶に残ります。
しかしながら、感情移入するあまり一見関係の無いようなことまで調べることもあります。
それらの作業は人によっては遠回りしているようにも見えるかもしれませんが、一見関係の無いような知識こそ、必要な知識と必要な知識を結びつけることにおいて重要で、感情移入こそが記憶の定着に役立つ手段ではないかと個人的には思います。
また、教育原理の人物問題については、それぞれの人物が歴史上の時代背景の中でどのようなことを考え、どのような偉業を成し遂げたのかまで詳しく調べました。
そして、頻出の人物については「この人、こんなことも広めた人だったのか」と言うような内容が実際に出題されたりもします。
テキストや恐らく通信教育の教材にも雑学的な知識は書かれていないと思うので、このように感情移入しながら自分で知識を広げることができる人は独学に向いている人だと感じます。
自分を信じることができる人
保育士試験の学習を始める前に、私はまず1番に保育士試験に一発合格した人がどのような勉強をしたのかをネット上で検索し、あらゆる一発合格者のブログを拝見しました。
その中で様々なテキストや問題集が紹介されてましたが、私はそのような参考書や問題集のみでの対策を行いませんでした。
追加でどのような勉強を行ったかと言うと、何年もの過去問題を掘り下げ、過去問題を中心に学習し続けました。基本的に何の試験を勉強する際にも過去問題にこそ合格の鍵があることが多いからです。
また、保育士試験に限らず、何かを勉強する際にノートに纏める時間を取るな、とにかく問題を繰り返し解けとはよく聞く話ですが、自分の知らない知識を箇条書きで纏めることにこそ理解を深める鍵があると感じ、そこに膨大な時間を費やしました。
さらに、一発で合格することを信じて筆記試験の1ヶ月前には子供を一時保育に預けることで勉強時間を確保しました。
つまり、勉強時間をお金で買った訳です。
恐らくラストスパートに一時保育にお金を懸けなければ、一発合格は叶わなかったでしょう。
このように、一度独学を貫くと決めれば、最後まで自分の勉強法を信じ、それを貫ける人は独学での合格に向いている人だと感じます。
逆に独学を貫く自信がなく、何かに頼ることで安心を得たいと言う気持ちがあるのならば、通信教育を利用した方が良いでしょう。
勉強を楽しめる人
私の場合、高校時代の部活動が強豪校だったこともあり、受験勉強がほとんどできなかったためやむなく私立大学を受験しましたが、勉強については嫌いではなく、納得いくまで打ち込めた経験がありませんでした。
大学に入学すれば理系だったため、夜遅くまで実験に明け暮れたり、毎週レポートの提出に追われ、自分が取りたい資格も諦めざるを得ず、オマケに就職難にもぶち当たり、成り行きで就職先を見つけざるを得ませんでした。
そんな後悔だらけの過去もあり、やりたい仕事をしたい、手に職付けたい一心で楽しく集中して勉強に打ち込めました。
また、近くに知り合いもおらず、慣れない育児で鬱々とすることもありましたが、子どもを寝かし付けた後や一時保育に預けた後にコーヒーを飲みながら勉強する時間は至福のひと時であり、自分で考え、文字から様々なことを学ぶことが純粋に楽しいと感じました。
独学は普通に考えると孤独なのですが、私のように孤独を孤独と感じず楽しんで勉強できる人は独学での合格に向いている人だと思います。
まとめ
❍ 通信教育を選択したとしても結局は外部資料の印刷、児童福祉法等のボリュームの大きい法律書の購入、それらの暗記、数年分の過去問の購入もしくは印刷、それらの演習については避けられない。
❍ 一発合格した立場として、独学での合格に向いている人とは、次の項目に当てはまる人だと感じる。
・何でも直ぐに疑いの目で見てしまう人
・感情移入しながら暗記ができる人
・自分を信じることができる人
・勉強を楽しめる人
※実技試験対策について掲載中です。以下ご参照下さい。
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