ここで、令和3年前期試験に一発合格した立場で、令和3年後期の実技試験のお題を描いてみました。
2021年(令和3年)後期実技試験の造形のお題
問題
【事例】を読み、次の4つの条件すべてを満たして、解答用紙の枠内にその情景を描きなさい。
【事例】
H保育所の4歳児クラスの子どもたちは、園庭で色水遊びをしています。水の感触を楽しみながら、空き容器に色水を入れて並べてみたり、ジュースに見立てたり、色を混ぜるなどして、保育士と一緒に遊んでいます。
条件
1.容器を使って色水遊びを楽しんでいる様子を描くこと。
2.園庭での色水遊びの様子がわかるように描くこと。
3.子ども3名以上、保育士1名以上を描くこと。
4.枠内全体を色鉛筆で着採すること。
引用元:令和3年【後期】保育士試験「実技試験・造形に関する技術」課題の分析
2021年(令和3年)後期実技試験 造形の作品
それでは、2021年(令和3年)後期の造形試験のお題に基づいて、私が描いた作品をご紹介します。
保育園児が色水遊びをしています。保育士は、大きなペットボトルに入った青色の色水を女の子が持つ赤色の色水の入ったカップに注ぎ込み、2色を混ぜようとしています。女の子の園児は注ぎ込まれる色水を指で触り、水の感触を楽しんでいます。一方、向かって左手前の男の子の園児は色水の入ったカップを並べています。また、向かって右の男の子の園児は椅子に膝を付いた状態で色水の入ったペットボトルを口に運び、色水をジュースに見立てて飲む真似をしています。机の上には多数の色水が入ったカップやペットボトル、絵の具が置かれており、園庭で活動している様子が伺えます。
受験の季節とお題の季節について
まず、以前のブログで過去問題のお題の傾向についてご紹介しました。
それは、受験時期とお題の活動の季節が大体一致していると言うことですが、これについては過去問題での傾向に過ぎず、令和3年後期の実技試験では受験時期(冬)とは関係の無いようなお題が出題されました。
色水遊びと言うと、水を使用するため夏に遊ぶことが多く、「水の感触を楽しみながら」と言う言葉からも分かるように、季節は恐らく冬ではない可能性が高いですが、水着を着て遊ぶような遊びではないので冬でも可能な遊びになります。
今回のお題で新たに分かったことは、恐らく受験の季節とお題の季節は関係ないということです。
よって、造形の課題練習については春から冬まで満遍なく対策する必要があるかと思います。
自己評価
今回、令和3年の前期試験の反省点を踏まえて作品を仕上げました。
つまり、今回は特にお題の「条件」だけでなく、「事例」を意識した絵を描きました。
では、事例の内容を一つ一つ拾っていきます。
「4歳児クラスの子どもたちは」
座っている園児については下半身が見えていないため、それほど身長を気にしなくて良いのですが、向かって右の男の子の園児については、椅子に膝を付いている様子を描くはずが、立っているようにも見えます。
立っている場合、この絵では保育士と比べて身長が高すぎるため適切な身長ではありません。
以前にもお伝えしましたが、試験監に本来の意図とは違った判断をされてしまうような紛らわしい絵を描くのは避けましょう。
「 園庭で色水遊びをしています 」
園庭であることは伝わるのですが、机と椅子が少し伝わりにくいです。
本来表現したかった絵としては、保育園の園庭で見かけるプラスチック製の椅子と机が一体となっているような物を表現したかったのですが、机の上部しか描けておらず、脚が見えていないためこれが机であることが少し伝わりにくい絵となりました。
机と椅子を描く場合、少し難易度は上がりますが、斜めからの視点で遠近法を取り入れて表現すると上手く伝わります。
その他の机や椅子以外の背景の様子については、タイヤの遊具があったり、柵があったりするため、園庭であることは伝わるかと思います。
「水の感触を楽しみながら」
「感触を楽しみながら」なので、水に触れていることがベストな解答なのでしょう。
これ以降の文言も全て絵に取り入れることを考慮すると、どのような形で園児を色水に触れさせるかは迷いました。
結局、保育士が注ぐ色水に女の子の園児の指を触れさせる構図にしました。
「空き容器に色水を入れて並べてみたり」
向かって左手前の園児がこの作業に当たります。
「ジュースに見立てたり」
向かって右の男の子の園児がこの作業に当たります。
カップのままだと誤飲の恐れがあるのでペットボトルにキャップをした状態で腰に手を当てジュースを飲む真似をする様子を描きました。
「色を混ぜるなどして、保育士と一緒に遊んでいます」
この言葉通り、保育士が青色の色水が入った大きなペットボトルを女の子の園児が持つ赤色の色水の入ったカップに注いで色を混ぜている様子を描きました。
園児の持つカップの色水が赤色だと言うことが分かりにくかったり、カップに注がれる色水を園児が指で触っている様子が判りにくかったりし、少しごちゃっとなってしまったのは反省点です。
このような色の混ぜ方をするならば、もう少し大きめの容器に注ぎ込む方が伝わり易いでしょう。
配点に関わりそうな箇所については、何度もお伝えしているように試験監に対して伝わり易い絵を描く努力が必要です。
絵を描く際に気を付けること10ヶ条
上記の自己評価より、ある程度は「条件」だけでなく「事例」も抑えた絵を描けたのではないかと思います。
しかしながら、椅子に膝を付く園児の背丈が上手く描けなかったり、机や椅子が少し伝わりにくかったりし、反省点は多いです。
では、以前ご紹介した、絵を描く際に気を付けること10ヶ条での視点ではどうだったでしょうか。
上記の反省点を元に〇✖△で評価してみました。
年齢に応じた身体の大きさを描く
上記で示した通り、 向かって右の男の子の園児について、座っているのか立っているのか判らないような絵となりました。
立っていると受け取られた場合、園児の身長は適切に描けていません。
様々な体の動きを描く
保育士を含めて4人共違う動作をしており、事例を抑えた様々な動きが描けています。
保育士の目線は園児の方へ
今回の場合、事例で園児達と一緒に遊ぶことが指定されており、ペットボトルからカップへ慎重に色水を注いでいる場面なので目線はペットボトルの方に向いていても特に問題ないでしょう。
様々なアイテムを描けるようにする
今回、必須で描かなければいけないアイテムは、「色水」です。
時間内に沢山の色水を描けたのではないかと思います。
その他に園庭なので園児や保育士に帽子を被らせたり、園児にお遊戯用のスモックを着せたりすることで、園外活動らしさは描けたかと思います。
ちなみにスモックについては長袖で描きましたが、全員半袖にし、夏の活動にしてしまっても良いと思います。
一つ反省点としては、園庭の机が上手く描けなかったことです。
少し難易度が上がりますが、机と椅子を斜め上の視点から見た絵を描くことができれば色々な場面で使えるアイテムになるため、練習をされることをお勧めします。
構図は人物の重なりを少なく
人物の重なりは少ないので問題ないでしょう。
年齢に応じた動作を取り入れる
色水を口にすることもない年齢なので特に問題ないでしょう。
そう考えると、空き容器はペットボトルは描かずにカップで統一しても良いでしょう。
協同遊びができる4歳児クラスの園児ですが、ペットボトルを描くことで右の男の子の園児が一人で遊んでいるように見えかねないからです。
表情は生き生きと
様々な表情を描きましたが、真ん中の女の子の目線が若干ズレてしまいました。
遠近法に気を付ける
遠近法を取り入れなくて良いように人物をほぼ横並びに配置したのですが、机と椅子の伝わりにくさを考えると、この絵の構図の場合は遠近法を取り入れたいです。
背景のタイヤの遊具や木、柵の大きさについては、特に違和感なく遠近法を取り入れることができています。
色塗りにバリエーションがあるか
色塗りについてはカラフルに様々な色で着色できました。
塗り残しが無いか
塗り残しはありません。
上記の自己評価を単純に〇✖で纏めると、下のピンク枠のようになります。
絵を描く際に気を付けること10ヶ条
年齢に応じた身体の大きさを描く △
様々な身体の動きを描く 〇
保育士の目線は園児の方へ 〇
様々なアイテムを描けるようにする 〇
構図は人物の重なりを少なく 〇
年齢に応じた動作を取り入れる 〇
表情は生き生きと 〇
遠近法に気を付ける △
色塗りにバリエーションがあるか 〇
塗り残しが無いか 〇
以上より、これも予想に過ぎませんが、今回は8割強程度の絵は描けたのではないかと感じています。
まとめ
❍ 今回の出題で分かったことは、受験の季節とお題の季節は必ずしも一致はしないという事実である。
❍ お題対策は、季節を問わず通年の活動を意識して対策を行った方が良い。
❍「条件」だけでなく「事例」を意識した絵を描くことが高得点に繋がるのではないかと感じる。
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